環境のこと
植物が作る自然環境
地球に生命が誕生して以来、植物は地球環境が作られるうえで重要な役割を果たしてきました。
植物の光合成より、大気のほとんどが二酸化炭素だった太古の地球の二酸化炭素量が
徐々に減少して逆に酸素が増加、現在の大気が出来上がりました。
大気は、太陽の光や温度などの他、雨というかたちで水を与えてくれています。
そして土は植物に必要な栄養素と水を供給し、何よりも植物の体自体を支えています。
一方で植物もまわりの環境に働きかけをしています。
葉からの水蒸気の蒸散は気温や湿度に影響を与えて気候の緩和に役立ち、
また日陰を作り、強い風の勢いを弱めるなどの役割を果たします。
森林の土砂流出量は、荒廃地の150分の1になるといわれるように、
木々の葉や大地を覆う草は雨を受け止めて土の流出を防ぎ、根は土を保持し、
堆積した落ち葉は、虫や微生物によって分解され、
植物の根が張ることで硬い土が耕され豊かな土になり、
そしてその豊かな土は水を貯えます。
植物は周囲の環境を穏やかにし生物が住みやすくなるように、
時間をかけて少しずつ環境に働きかけてきたのです。
植物と生物のかかわり
植物の葉や実は食料となり、すべての生物を支えています。
これは人間にとっても同様で、食料であり、木材や綿・麻などの繊維は、
建築資材・紙・衣類としても使われています。
その他、植物療法のメディカルハーブ、アロマテラピーなど
植物の持つ機能性=植物化学(フィトケミカル)成分を利用するものもあります。
植物は花の香りに誘われてやってくる虫たちに蜜を与え、代わりに受粉を助けてもらいます。
そして、虫や鳥によって遠くに運ばれた実は植物の生息域を広げます。
こうして植物はさまざまな生物を支え、また多様な生態系をつくり出すうえで重要な役割を担っています。
私たちが享受する美しい自然景観は生態系の姿であり、
地球上に暮らす多くの生物は、さまざまな種がお互いに複雑にかかわり合いながら生きているのです。
環境のほころび
今、その地球環境にほころびが生じてきています。
人と自然が密接だった暮らしが変わり、高度経済成長と都市化・近代化の過程で
大気や水の汚染などの公害が発生、自然環境の破壊が進みました。
地球規模で多くの森林が失われたことで、植物による二酸化炭素の吸収が減少し
地球温暖化が進行しました。
地球温暖化によって、気温の上昇、海水面の上昇、異常気象の頻発などが生じ、
自然環境や国土保全への影響、農業や水産業への影響、感染性の病気の拡大などのほか、
野生生物の生息地の喪失による生物多様性の危機、大気の汚染、ヒートアイランド現象、
オゾン層の破壊による健康被害や動植物の発育阻害などの問題がおき始めています。
地球環境のほころびは、まず最初にそれらを受けやすい生物に現れ、
そして、食物連鎖などを通じて少しずつ他の生物にも影響をおよぼしていきます。
植物の恵みは大地の恵み、地球の恵みです。
この恵みに感謝し、将来にわたってその恵みを受けられるようにするためにも、
地球環境を守っていくことが必要となってきています。